ちょっと前にあさひさんのところにあったバトンをこっそり盗んできてしまいました。しかも趣向を変えてやってみたよ。あさひさんごめんなさい、でも面白くも萌えるバトンを見せていただいて楽しかったです~。
というわけで、詳細は以下。長めなので前後編に分けてあります。
▼指定型学園生活バトン
《指定:グラハム》 『』の中には指定された人物名を入れてください。
あなたは『グラハム』と同じクラスになりました。
「あなた=ジョシュア」です。
親の仕事の都合で小学校高学年くらいから全国を転々としてきたジョシュアは、生まれ育った街に数年ぶりに戻ってくることになりました。しかも編入することとなった高校は、幼馴染のビリーが通っている男子校で。ビリーとまた同じ学び舎に通えると思うと自然と気持ちも高揚するジョシュアでしたが、しかし残念なことにビリーとは違うクラスになってしまいました。
そんなジョシュアの高校生活は、ビリーのいないクラスで始まることとなり――?
というわけで、詳細は以下。長めなので前後編に分けてあります。
▼指定型学園生活バトン
《指定:グラハム》 『』の中には指定された人物名を入れてください。
あなたは『グラハム』と同じクラスになりました。
「あなた=ジョシュア」です。
親の仕事の都合で小学校高学年くらいから全国を転々としてきたジョシュアは、生まれ育った街に数年ぶりに戻ってくることになりました。しかも編入することとなった高校は、幼馴染のビリーが通っている男子校で。ビリーとまた同じ学び舎に通えると思うと自然と気持ちも高揚するジョシュアでしたが、しかし残念なことにビリーとは違うクラスになってしまいました。
そんなジョシュアの高校生活は、ビリーのいないクラスで始まることとなり――?
*
1.あなたは『グラハム』と隣の席になりました。どうやって挨拶する?
「初めまして、だな。グラハム・エーカーだ。よろしく、ジョシュア」
まさか、と思った。けれど確かに、見てみればそれらしき特徴はあるようだ。俺のものよりも明るい色合いの波打つ金の髪、好奇心に満ち溢れた碧の瞳。
――こいつが、ビリーの話していたグラハムか。
「お噂はかねがね伺っていますよ、グラハム・エーカー学級委員殿」
「……噂?」
「そのうちわかるでしょうよ、きっと」
お前などにわかってたまるか、とは思うけれど。
2.『グラハム』が教科書を忘れて困っているようです、どうする?
(あさひさんとこのやりとりがものすごくツボったので勝手にいただきました)
「失礼」
グラハムの奴は、おもむろに呟くと机を寄せてきた。
「え?」
「失礼と云った!」
次の瞬間には、教科書をひったくられ奴と自分の机の間に置かれる。ちょっと待てなんだお前、普通一言くらい断りを入れるだろう!?
……非常識なまでに強引なその様に、どうしてクラスの連中は誰一人として振り返ろうとすらしないのか。それともなにか、こいつのこの強引さは日常茶飯事とでもいうのか!
3.体育祭です『グラハム』は何の競技に出ると思う?活躍する?
あいつはスウェーデンリレーのアンカーと騎馬戦と借り物競争に出ることになった。
俺は同じくスウェーデンリレーの第一走者と、騎馬戦の馬だ。どうして奴に足蹴にされなければならないのかと体育委員を小一時間問い詰めたいところだが、一応自分はまだクラスの新人である転校生だ。仕方ない、決められたことには従おう。
ちなみリレーではスタートダッシュは俺が決めてやった。二番手と三番手がバトンパスをトチって順位は急転落したが、アンカーであるあいつは半周もの距離を無理矢理縮めてトップグループをごぼう抜きしやがった。
クラスの連中は「流石グラハムスペシャル!」だとかなんとか叫んでいたが、……待て、それは奴の技名なのか?
しかも借り物競争で『眼鏡』が出たというのはまあいいとして、どうしてビリーを抱えてゴールする必要がある!? いつもの強引さで眼鏡をひったくればいいだけだろう! どうしてビリー本人が必要になるんだそれも姫抱っこで走るその様に男どもの野太い(女子でいうなら黄色い)悲鳴が上がるのはなぜだ! やめろこの馬鹿一位だからって調子に乗って頬にキスとかするなビリーが穢れる!!
4.文化祭です『グラハム』は劇に出ることになりました、何の劇で何の役?
なにが悲しくて男子校で『ロミオとジュリエット』を演じねばならないのか。まあジュリエットを演じるのがチビなあいつだというのはまあいいだろう。いい笑いものだ。俺も散々笑ってやったしな。
――しかし、だ。そこでどうして俺がロミオになるというのか。奴と息が合う? ふざけたことを云うなこの馬鹿クラス!!
ああ嫌だ悪夢だありえない。散々渋ったくせに一度稽古が始まると途端に女になりきることのできるあいつの神経が信じられん。周りにいるクラスの連中が必死で笑いをこらえていることに気づかないのかこの男は。しかも、奴に見上げられ愛を囁かれたときに走る悪寒といったら!
5.文化祭、『グラハム』に一緒に回ろうと誘われました。どんなコースで回る?
俺は断った。確かに断った。なのになぜ俺の隣にはこいつがいて、俺はこいつと模擬店やら出し物やらを見て回っているのだろう。
こいつの強引さを容認している周囲には大概呆れるが、そんな環境のせいだろうか、こいつの我侭に巻き込まれることに慣れつつある自分も大概だ。
奴は模擬店で揚げドーナツやらホットコーヒーやらチョコバナナやらを買い込んでいた。甘いものはそれほど好きではないはずではなかったか?と疑問に思ったが、その疑問はすぐに解消された。大量の甘いもの(俺も半分持たされた)を手にした奴が向かったのが、科学室だったからだ。科学室で行われている展示では、この時間ならばビリーが受付をしているはずだ。ものがものだから一般客どころか生徒さえも多くは立ち寄らない展示だというから、ビリーは今ごろ暇を持て余しているに違いない。
そろそろおやつの時間だからな、と笑う奴の言葉に、今回ばかりは同意してやることにした。
6.文化祭、あなたと『グラハム』のクラスは一体何の出し物をするの?
だから演劇だと。しかも誰の策略なのか、舞台発表のトリを飾ることになってしまった。毎年、舞台発表は後半の方が集客率が高いという。一般客が一通り校内を巡って一休みがてら体育館で発表を見る割合が高いのと、後半に期待度の高いものを入れているらしいからとか。ああ、悪夢だ。俺はどうして無駄に手の込んだ煌びやかな衣装を着込まされて大人数が見る中で舞台の上で女装した(しかもそれが無駄に似合う)あいつに愛の言葉を囁かねばならないのか。
しかもこの『ロミオとジュリエット』、ラストを改変しやがったのはどこのどいつだ! 自殺したジュリエットにロミオがキスをして生き返るとか、一体どこの白雪姫と混同しやがったこの馬鹿! ――ということを、最終稿とされる脚本を渡された際に叫びいざ暴れんとした俺の前に差し出されたのは、なんとビリーだった。あのビリーに目の前でへらりと笑われては怒る気力も萎える。というかクラスが違うだろうというツッコミは今さらだった。ビリーならばまあ仕方がない。……そう、思えたのに。
なのにどうして俺はラストシーンだというのに舞台上で固まってしまっているのだろう。台詞が、台詞があったはずなのに思い出せない。棺の中のジュリエットにキス(のフリ)をして、ジュリエット扮するあいつが起き上がって互いに愛を囁いて幕が下りるはずだったのに。一応はクライマックスシーンだ。なんだかんだで俺の演技にも熱がこもり、俺のテンションも最高潮まで達していたというのに。
どうして、キス(のフリ)をする直前にジュリエットが目覚めてしまうのだろう。キス(のフリ)をするまであと数センチというところで、どうしてジュリエットの腕が上がり顔が上がり俺の唇が奴の唇に当たっているのだろう。客席から盛大な歓声が聞こえる。呆然とした俺を残したまま、舞台の幕が下りる。
奴は笑っていた。クラスの連中も大喜びで手を叩いていた。これで人気投票の一位は確実だな! と笑うクラスの連中を、俺は一人ずつ殴ってやった。一応は平手でやったあたりに俺の良心を感じて欲しい。……流石にビリーは殴れなかった。代わりに奴をグーで殴ろうとしたが避けられた。ちくしょうめ。
文化祭でのクラス発表の人気投票、圧倒的な得票率でトップに輝いたのは俺たちのクラスだった。ありえない。
<後編に続くよ!>
1.あなたは『グラハム』と隣の席になりました。どうやって挨拶する?
「初めまして、だな。グラハム・エーカーだ。よろしく、ジョシュア」
まさか、と思った。けれど確かに、見てみればそれらしき特徴はあるようだ。俺のものよりも明るい色合いの波打つ金の髪、好奇心に満ち溢れた碧の瞳。
――こいつが、ビリーの話していたグラハムか。
「お噂はかねがね伺っていますよ、グラハム・エーカー学級委員殿」
「……噂?」
「そのうちわかるでしょうよ、きっと」
お前などにわかってたまるか、とは思うけれど。
2.『グラハム』が教科書を忘れて困っているようです、どうする?
(あさひさんとこのやりとりがものすごくツボったので勝手にいただきました)
「失礼」
グラハムの奴は、おもむろに呟くと机を寄せてきた。
「え?」
「失礼と云った!」
次の瞬間には、教科書をひったくられ奴と自分の机の間に置かれる。ちょっと待てなんだお前、普通一言くらい断りを入れるだろう!?
……非常識なまでに強引なその様に、どうしてクラスの連中は誰一人として振り返ろうとすらしないのか。それともなにか、こいつのこの強引さは日常茶飯事とでもいうのか!
3.体育祭です『グラハム』は何の競技に出ると思う?活躍する?
あいつはスウェーデンリレーのアンカーと騎馬戦と借り物競争に出ることになった。
俺は同じくスウェーデンリレーの第一走者と、騎馬戦の馬だ。どうして奴に足蹴にされなければならないのかと体育委員を小一時間問い詰めたいところだが、一応自分はまだクラスの新人である転校生だ。仕方ない、決められたことには従おう。
ちなみリレーではスタートダッシュは俺が決めてやった。二番手と三番手がバトンパスをトチって順位は急転落したが、アンカーであるあいつは半周もの距離を無理矢理縮めてトップグループをごぼう抜きしやがった。
クラスの連中は「流石グラハムスペシャル!」だとかなんとか叫んでいたが、……待て、それは奴の技名なのか?
しかも借り物競争で『眼鏡』が出たというのはまあいいとして、どうしてビリーを抱えてゴールする必要がある!? いつもの強引さで眼鏡をひったくればいいだけだろう! どうしてビリー本人が必要になるんだそれも姫抱っこで走るその様に男どもの野太い(女子でいうなら黄色い)悲鳴が上がるのはなぜだ! やめろこの馬鹿一位だからって調子に乗って頬にキスとかするなビリーが穢れる!!
4.文化祭です『グラハム』は劇に出ることになりました、何の劇で何の役?
なにが悲しくて男子校で『ロミオとジュリエット』を演じねばならないのか。まあジュリエットを演じるのがチビなあいつだというのはまあいいだろう。いい笑いものだ。俺も散々笑ってやったしな。
――しかし、だ。そこでどうして俺がロミオになるというのか。奴と息が合う? ふざけたことを云うなこの馬鹿クラス!!
ああ嫌だ悪夢だありえない。散々渋ったくせに一度稽古が始まると途端に女になりきることのできるあいつの神経が信じられん。周りにいるクラスの連中が必死で笑いをこらえていることに気づかないのかこの男は。しかも、奴に見上げられ愛を囁かれたときに走る悪寒といったら!
5.文化祭、『グラハム』に一緒に回ろうと誘われました。どんなコースで回る?
俺は断った。確かに断った。なのになぜ俺の隣にはこいつがいて、俺はこいつと模擬店やら出し物やらを見て回っているのだろう。
こいつの強引さを容認している周囲には大概呆れるが、そんな環境のせいだろうか、こいつの我侭に巻き込まれることに慣れつつある自分も大概だ。
奴は模擬店で揚げドーナツやらホットコーヒーやらチョコバナナやらを買い込んでいた。甘いものはそれほど好きではないはずではなかったか?と疑問に思ったが、その疑問はすぐに解消された。大量の甘いもの(俺も半分持たされた)を手にした奴が向かったのが、科学室だったからだ。科学室で行われている展示では、この時間ならばビリーが受付をしているはずだ。ものがものだから一般客どころか生徒さえも多くは立ち寄らない展示だというから、ビリーは今ごろ暇を持て余しているに違いない。
そろそろおやつの時間だからな、と笑う奴の言葉に、今回ばかりは同意してやることにした。
6.文化祭、あなたと『グラハム』のクラスは一体何の出し物をするの?
だから演劇だと。しかも誰の策略なのか、舞台発表のトリを飾ることになってしまった。毎年、舞台発表は後半の方が集客率が高いという。一般客が一通り校内を巡って一休みがてら体育館で発表を見る割合が高いのと、後半に期待度の高いものを入れているらしいからとか。ああ、悪夢だ。俺はどうして無駄に手の込んだ煌びやかな衣装を着込まされて大人数が見る中で舞台の上で女装した(しかもそれが無駄に似合う)あいつに愛の言葉を囁かねばならないのか。
しかもこの『ロミオとジュリエット』、ラストを改変しやがったのはどこのどいつだ! 自殺したジュリエットにロミオがキスをして生き返るとか、一体どこの白雪姫と混同しやがったこの馬鹿! ――ということを、最終稿とされる脚本を渡された際に叫びいざ暴れんとした俺の前に差し出されたのは、なんとビリーだった。あのビリーに目の前でへらりと笑われては怒る気力も萎える。というかクラスが違うだろうというツッコミは今さらだった。ビリーならばまあ仕方がない。……そう、思えたのに。
なのにどうして俺はラストシーンだというのに舞台上で固まってしまっているのだろう。台詞が、台詞があったはずなのに思い出せない。棺の中のジュリエットにキス(のフリ)をして、ジュリエット扮するあいつが起き上がって互いに愛を囁いて幕が下りるはずだったのに。一応はクライマックスシーンだ。なんだかんだで俺の演技にも熱がこもり、俺のテンションも最高潮まで達していたというのに。
どうして、キス(のフリ)をする直前にジュリエットが目覚めてしまうのだろう。キス(のフリ)をするまであと数センチというところで、どうしてジュリエットの腕が上がり顔が上がり俺の唇が奴の唇に当たっているのだろう。客席から盛大な歓声が聞こえる。呆然とした俺を残したまま、舞台の幕が下りる。
奴は笑っていた。クラスの連中も大喜びで手を叩いていた。これで人気投票の一位は確実だな! と笑うクラスの連中を、俺は一人ずつ殴ってやった。一応は平手でやったあたりに俺の良心を感じて欲しい。……流石にビリーは殴れなかった。代わりに奴をグーで殴ろうとしたが避けられた。ちくしょうめ。
文化祭でのクラス発表の人気投票、圧倒的な得票率でトップに輝いたのは俺たちのクラスだった。ありえない。
<後編に続くよ!>
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