僕はビリー・カタギリ。その名の通り、性別は男だ。けれど僕は今、なんの因果か五人の男の子の母親になってしまった。
実際のところ、僕にも意味がわからない。
どうして僕が母親!? 男の僕が!
ていうか子どもが五人もいるとか知らなかったんですけどエイフマン教授……!
************
エイフマン教授というのは、僕の夫だった人だ。僕は教授の大ファンで、教授と一言でもいいから言葉を交わしたいがために必死で勉強をして大学に入って教授の研究室に滑り込んだ。
なんだかんだと厳しい人ではあったけれど教授も僕を気に入ってくれて、僕を妻にしてくれた。
もちろん夫婦と云っても形だけの結婚で、僕と教授の間になにがあったわけでもない。
けれど自分の死期を感じ取っていた教授は、最後に隣にいる存在として僕を選んでくれた。それだけで僕は、本当に幸せだった。
教授が死んでもなお、悲しさとは別に僕は幸せだった。
あの日、彼らが僕の前に現れるまでは。
「お前、本当に大丈夫か?」
「まあ……なんとかね」
心配そうな顔で幼馴染のニールが僕の顔を覗きこんでくる。そんなに悪い顔色をしていたのか、それとも心配になるような表情を僕はしていたというのだろうか。
ただでさえ心配ばかりかけているニールにこれ以上心の負担をかけさせないように僕は笑顔を作ってニールを見上げた。
「大丈夫だよ、君こそそんなに心配そうな顔ばかりしていると身体を壊すんじゃないかい?」
「お前なあ、俺の心配をしてる場合じゃないだろ」
「う……」
ああそうだ、実のところ僕には誰かの心配をしているような心の余裕がない。どうしようもないことで、仕方のないことではあるけれど、それでもどうしようと悩まずにはいられないこと。
全ては、教授が死んで一週間目のあの日から始まった。
「お迎えに上がりました、ビリー様」
教授の葬儀を終えてようやくひと段落ついた僕の元にやってきたのは、教授の私設秘書だったハワード・メイスンだった。
何度か顔を合せた事のある相手だけに、僕はさして疑問に思うこともなく彼に云われるままに車に乗り込んで――。
「あんたが母親か? 俺とほとんど変わらないじゃないか」
「その……なんというか、物好きな人ですね」
「僕はあなたを認めない」
「あんたのことなんてオレは知らない」
「そうだな、私たちがこうして出逢ったのはきっと運命だ」
教授には養子がいて、教授が彼らの未来を案じているらしいことはわかった。けれど生前の教授は養子がいるなんて一言もいっていなかったし、だから僕は互いに天涯孤独だからこそ惹かれるものがあったのだろうと思っていた。
けれど実際の教授の別宅には五人の兄弟がいて、彼らはそれぞれ普通に見せながらも妙に個性的で。
ハワードから伝えられた教授の遺言がなかったら、僕はきっと彼ら兄弟の前から逃げ出していたに違いない。
けれど放り出すわけにはいかなかった。
僕が教授と出逢えたように、僕が彼らと出逢ったことにもきっと意味があるのだろうと、教授がそう残してくれたから。
というわけで、中途で放り出したビリーさんの執事と同様にノリと本編展開とで思うがままに進んでいく「僕んちの男子」。思うがままに書いているだけあって楽しかった……。
長男 グラハム
二男 ライル
三男 アレルヤ
四男 ティエリア
五男 刹那
となりましたが、実は最初の段階では次男三男でニルライをやるつもりでした。が、この二人を並べるとどっちをどう書いていいかわかんないので、あえてニールを兄弟枠から外してみました。でも多分ビリーの幼馴染なニールさんちには年の離れた妹がいると思います。
さあてこれは一体いつまで続くでしょうか……(苦笑)
エイフマン教授というのは、僕の夫だった人だ。僕は教授の大ファンで、教授と一言でもいいから言葉を交わしたいがために必死で勉強をして大学に入って教授の研究室に滑り込んだ。
なんだかんだと厳しい人ではあったけれど教授も僕を気に入ってくれて、僕を妻にしてくれた。
もちろん夫婦と云っても形だけの結婚で、僕と教授の間になにがあったわけでもない。
けれど自分の死期を感じ取っていた教授は、最後に隣にいる存在として僕を選んでくれた。それだけで僕は、本当に幸せだった。
教授が死んでもなお、悲しさとは別に僕は幸せだった。
あの日、彼らが僕の前に現れるまでは。
「お前、本当に大丈夫か?」
「まあ……なんとかね」
心配そうな顔で幼馴染のニールが僕の顔を覗きこんでくる。そんなに悪い顔色をしていたのか、それとも心配になるような表情を僕はしていたというのだろうか。
ただでさえ心配ばかりかけているニールにこれ以上心の負担をかけさせないように僕は笑顔を作ってニールを見上げた。
「大丈夫だよ、君こそそんなに心配そうな顔ばかりしていると身体を壊すんじゃないかい?」
「お前なあ、俺の心配をしてる場合じゃないだろ」
「う……」
ああそうだ、実のところ僕には誰かの心配をしているような心の余裕がない。どうしようもないことで、仕方のないことではあるけれど、それでもどうしようと悩まずにはいられないこと。
全ては、教授が死んで一週間目のあの日から始まった。
「お迎えに上がりました、ビリー様」
教授の葬儀を終えてようやくひと段落ついた僕の元にやってきたのは、教授の私設秘書だったハワード・メイスンだった。
何度か顔を合せた事のある相手だけに、僕はさして疑問に思うこともなく彼に云われるままに車に乗り込んで――。
「あんたが母親か? 俺とほとんど変わらないじゃないか」
「その……なんというか、物好きな人ですね」
「僕はあなたを認めない」
「あんたのことなんてオレは知らない」
「そうだな、私たちがこうして出逢ったのはきっと運命だ」
教授には養子がいて、教授が彼らの未来を案じているらしいことはわかった。けれど生前の教授は養子がいるなんて一言もいっていなかったし、だから僕は互いに天涯孤独だからこそ惹かれるものがあったのだろうと思っていた。
けれど実際の教授の別宅には五人の兄弟がいて、彼らはそれぞれ普通に見せながらも妙に個性的で。
ハワードから伝えられた教授の遺言がなかったら、僕はきっと彼ら兄弟の前から逃げ出していたに違いない。
けれど放り出すわけにはいかなかった。
僕が教授と出逢えたように、僕が彼らと出逢ったことにもきっと意味があるのだろうと、教授がそう残してくれたから。
というわけで、中途で放り出したビリーさんの執事と同様にノリと本編展開とで思うがままに進んでいく「僕んちの男子」。思うがままに書いているだけあって楽しかった……。
長男 グラハム
二男 ライル
三男 アレルヤ
四男 ティエリア
五男 刹那
となりましたが、実は最初の段階では次男三男でニルライをやるつもりでした。が、この二人を並べるとどっちをどう書いていいかわかんないので、あえてニールを兄弟枠から外してみました。でも多分ビリーの幼馴染なニールさんちには年の離れた妹がいると思います。
さあてこれは一体いつまで続くでしょうか……(苦笑)
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