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2024/11/23 06:54 |
●悪夢の底から望む光
 少し前に書いたはいいがアップしようかどうか悩み続けて結局放置状態になっていたやつ。ノリノリで書いたわりに内容があれですが。色々ひどいので、うーん18歳未満とはいわないけど15歳より下の人(いたら)はスルーしてくださいね(笑)


*




 悪夢はいつだって、闇の中から始まる。
 そう、それは夢だった。わかっている。むしろ夢でなければ、どうしてこんな嫌なことばかりを前にすることがあるだろうか。思い出したくもない、過去の記憶。脳の記憶中枢の底に封じたはずの、思い出すことのないよう忘れるよう自らの心に鍵をかけたはずの、その記憶が。
 闇の中で押さえつけられ、押しつけられ、殴られ、突かれ、揺さぶられる。痛みなどとうに遠い感覚となっている。だから痛みは感じない。ただただ気持ちが悪い。触れられた身体の表面が、濡れた身体の中が、自分のものではないかのようにただそこにあり、感じるのは気持ちの悪さだけであった。
 そこにいるのがなぜなのか、なぜ自分がそこにいるのか、わかるけれどわからない。考えるのも億劫だ。
 早く覚めてほしいと願うのは、これは夢だとわかっていたから。
 ――夢ならどうか。
 もう充分だ。忘れていた、遠い過去のことを今さらどうして思い出せばならないのか。思い出す、そうだ、あのときも思い出したのだ。彼の姿を、彼のあの、ひたすらに前だけを見据える美しい翠の瞳を。
 大切な人だ。愛しい人だ。なによりも誰よりも、彼が彼であればいいとそれだけを思った。彼のことを思うと胸が熱くなり、胸が痛くなる。
 ――ああ、
 吐息は呟きに、呟きはいつしか叫びになる。音のない闇の中、叫ぶそれはひたすらに想いを形作っていた。
 縛り付けられた闇の底から、光を望むことなどできるだろうか。
 手を伸ばすその先に見えてくる背中は遠く、どんなにその名を叫ぼうとも届くことはなかった。けれどそれもいいと思う。その背中が見据える先にあるのは光の道だ。彼がその道を進むことが、なんの翳りもなく真っ直ぐと前を見ることが、それこそが自分の望んでいたものであったのだから。
 だから、――だけれど。
 手を伸ばす。届かない。ここは闇の中だ。届かない。けれど手を伸ばす。例え届かなくとも。否、届かないからこそ、



 ――ああ、どうしよう


 ――今とても、君に会いたい


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2007/12/22 03:14 | Comments(0) | 小ネタ小話

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